東京都心(港区高輪)に堂々と佇む姿が印象的な泉岳寺は、曹洞宗の名刹で、江戸三ヶ寺と称えられる東京の代表的な寺院の1つです。時代劇でお馴染みの赤穂浪士のお墓があることでも有名で、討ち入りの日には毎年多くの人が訪れます。この泉岳寺が、徳川家康公自らの命により創建されたことは意外と知られていないかもしれません。
家康公は、慶長17年(1612)、幼少期をその下で過ごした今川義元の菩提を弔うために、江戸城のほど近い外桜田(現在の桜田門付近)に泉岳寺を建立します。開山にあたり迎えられた門庵宗関和尚は、今川義元の孫であるといわれています。寛永18年(1641)の大火によって焼失してい...