宿坊について
宿坊と聞くと、お寺に付帯する宿泊施設と考えるのが一般的ですが、本来は、宿泊施設としてで
はなく神社やお寺の宗教的施設としての僧侶及び講(信者の団体)や氏子や参拝者などの参詣
(神社やお寺に訪れる事)の拠点であり、参詣にきた人たちの潔斎をする場となり、さらには参
詣の作法を伝える場でありました。
江戸時代になると、お伊勢参り、金毘羅参り、善光寺参りなどの社寺参拝が観光として大衆化し、
参詣者が増え、各地の大きな社寺には宿坊が整備され、参詣者が参籠(神社やお寺などに一
定の期間こもって祈願すること)の場として広がりました。
明治時代に入り、廃仏毀釈によって、仏教普及の場として利用されていた宿坊は、仏教排斥に伴
い減少していきます。
文責:
Regional Shrines TemplesTourism Council(社寺観光地域連携協議会)
参考文献:
「中世の鞍馬寺参詣にみる宿坊の一形態―寺院と人々をつなぐもの―」 (『鷹陵史学』第35号、2009年) 野地秀俊